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高校生がつくるメディア情報リテラシーの授業『フェイクニュース時代のメディア情報リテラシーの学び』報告会 〜参加した高校生によるレポート

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 2月16日、ユーザベース(東京・丸の内)のイベントスペースにて、「高校生がつくるメディア情報リテラシーの授業『フェイクニュース時代のメディア情報リテラシーの学び』報告会」(JIMA共催)が開催されました。このプログラムは、国立大学法人愛知教育大学 社会科教育研究室(土屋武志教授)が中心となった活動で、高校生が自らメディアリテラシーに関する授業を作成・実施し、フェイクニュースに惑わされない情報の見極め方や批判的思考力、問題解決能力を育むことを目的としています。

 会場では、大画面・大人数の前での発表に緊張しながらも準備する姿や、互いの取り組みに真剣に耳を傾け合う様子が見られ、終始あたたかく前向きな雰囲気に包まれていました。

1. 参加校

・上野学園高校

・岡山県立岡山南高校

・関東学院六浦高校

・京都先端科学大学附属高校

・静岡雙葉高校

・愛知県立豊橋西高校

・奈良女子大学附属中等教育学校

2. 発表紹介

各学校から、それぞれ発表がありましたが、その一部をご紹介します。

・上野学園高校 タイトル:「知られざる現実〜私たちがつなぐパレスチナの今」

概要:日本のパレスチナ問題への関心の低さを背景に、数字では見えない現地の声に焦点を当てた。情報の受け手が正しい知識と中立的な視点を持てるよう工夫した授業案

詳細:パレスチナへの日本の関心の低さを解決するべく、プロジェクト参加の各班が関心のあるテーマについて探究活動を行っています。私たちの班はパレスチナ問題をテーマに現地の人々の声に焦点を当てました。日本での関心の低さや報道のあり方、言葉の中立性について議論を重ねるなかで、パレスチナ問題への関心の低さが、メディアでの情報発信の少なさにつながり、さらに問題の概要を知る機会が少なくなるという負のスパイラルが生まれると考えました。情報を正しく届けるには受け手のリテラシーが重要だと考え、国語・情報・探究を連携させた授業案を学会で提案しました。

・関東学院六浦高校 タイトル:「対話」できる人を育成する- Risk Lude(リスクルード)

概要:誤情報や中傷などを含むSNS投稿を自ら作り、リスクを予想するゲームを通じて他人との対話のし方を学び、考える

詳細:私たちは、「SNSの投稿に含まれたリスクを探すカードゲーム型教材」を制作しました。SNSの投稿に対して、自分と他人の情報の捉え方の違いを体感できる教材です。使用する投稿は自分たちで作成するため、発信者と受信者の両方の立場を体験できます。投稿作成の難しさが課題となりましたが、キャラクターや状況、関連ワードを記載した「投稿作成カード」を導入することで、ゲームの自由性を残しながら負担を軽減することができました。

3. ディスカッションと振り返り

参加者とのディスカッションを通じて多くの学びが得られました。他校の高校生や学校の先生、大学の教授、メディア関係者など、さまざまな立場の人々と情報リテラシーや発表内容について話し合いをすることができ、有意義な時間となりました。学校でどのような教育をすればよいのか、高校生にできることは何か、情報リテラシーがどのように他分野と繋がっていくのかなど、多角的な視点からの意見交換を通して、その必要性を再認識しました。また、活動の中での苦労や工夫について語り合うことで、相互理解が深まりました。お互いの考えを発表し合い、疑問を投げかけ合う中で、知らなかった知識や新たな視点に触れることができ、今後の探究活動にも活かせる学びが得られました。ディスカッションで得た気づきをもとに、私たち高校生ならではのユニークな教育方法をさらに追求し、今後の活動や学びに活かしていきたいと考えています。


本プロジェクトは、普段関わることのない他校の高校生同士や大人たちと直接意見を交わす貴重な場となりました。立場や背景の異なる人々との対話を通して、高校生と大人双方が学びを深め、視野を広げただけでなく、「メディアリテラシー」を軸に社会と主体的につながる姿勢を育むことができました。こうした探究の積み重ね、人との出会いが、やがて社会に前向きな変化を生み出す原動力となっていくことを実感する機会となりました。

4. 出席者の感想

マスメディアの方や他校の先生方から助言をいただきました。
特に「高校生が同級生や子供に伝えるのと大人が伝えるのとでは、伝わり方に大きな違いがある」という助言が印象に残りました。貴重な機会をいただきありがとうございました。(上野学園高等学校 3年 川口瞬浬)

大学生や専門家の助言をいただきながらチームで試行錯誤して教材を制作するという貴重な経験ができました。制作を通して、リーダーシップやアイデアを形にする力を培うことができ、学びの入り口をデザインする楽しさや教える楽しさを感じ、教師を志すきっかけになりました。(関東学院六浦高等学校 3年 星名優一朗)

※レポート執筆:関東学院六浦高等学校  星名優一朗、上野学園高等学校 川口瞬浬、静岡雙葉高校 寺田小雪、静岡雙葉高校 村田莉紗