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Internet Media Awards 2023 : OSINTが切り拓く「報道の新時代」——世界のジャーナリストが注目する調査報道テクニック

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選考委員特別賞

選考委員が特筆すべきとした作品

OSINTが切り拓く「報道の新時代」——世界のジャーナリストが注目する調査報道テクニック

ネットメディアだからこそ質を深め、表現を高められることを示す作品

Internet Media Awards 2023 選考委員特別賞 - OSINTが切り拓く「報道の新時代」——世界のジャーナリストが注目する調査報道テクニック

受賞コメント

熊田安伸/SlowNews シニアコンテンツプロデューサー

熊田安伸

「OSINT(Open Source Intelligence)」はウクライナ侵攻の際に有効な報道の手段だったこともあり、去年の報道界でキーワードとなりました。それを改めて世界に広めたのが、調査集団べリングキャット。スローニュースが独占邦訳配信の契約をして、私が編集担当になったことで最新のOSINTを浴び続けることになりました。そんな時、「記事にまとめませんか」と声をかけてくださったのが、Media×Techを運営されている藤村厚夫さんです。日本でもオープンデータを使った優れた報道が相次いでいて、起源をたどると面白い気づきもあったことから、初稿は2、3時間で書き上げました。藤村さんの的確な編集アドバイスなしにはなかった記事です。2年連続の受賞は望外で、ありがとうございました。

熊田安伸/SlowNews シニアコンテンツプロデューサー

NHK記者として1990~2021年、沖縄局、社会部、新潟局、仙台局、ネットワーク報道部で、公金をめぐる経済事件や災害前線報道、デジタル発信(政治マガジン、NHK取材ノート、AIリポーターヨミ子)を手掛ける。Nスぺ「追跡 復興予算19兆円」でギャラクシー賞など、「調査報告 日本道路公団」で芸術祭優秀賞。2006年の民事裁判で最高裁から記者の取材源秘匿を認める初判断を勝ち取る。報道実務家フォーラム、デジタル・ジャーナリスト育成機構で理事。著書に『記者のためのオープンデータ活用ハンドブック』。

選考委員より

ネットメディアは、いい意味でも悪い意味でも、プロによるコンテンツとアマによるコンテンツを並列化する。その中で、水が低い方に流れてしまうのを恐れていた私だったが、昨年、それが杞憂と言うより、私の偏見であることに気づかされた。そして今年、現在、我が国における調査報道の第一人者である熊田さんによる本稿をはじめとして、複数取り上げられていたOSINT(Open Source Intelligence)は、一歩進んで、ネットメディアだからこそ質を深め、表現を高められることを示す好例だった。特に、Bellingcatを紹介する本稿は、これまでプロとその組織力に拠るとされていた調査報道の担い手を一般にも広げたという点でその意義は大きい。まさに、「報道の新時代」が切り拓く「インターネットメディアの新時代」だ。それはまた、そもそものリソースのオープン化が遅れる日本の後進性をも明らかにするものとなっているようではあるが……。(干場弓子)