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Internet Media Awards 2024 : さまようロシア人 ジョージアでみた侵攻の代償(NIKKEI Film)

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グランプリ

全受賞作から選考された優秀作

さまようロシア人 ジョージアでみた侵攻の代償(NIKKEI Film)

情報収集能力と編集技術を駆使し、一つのテーマを深堀りする新たな可能性を示している作品

受賞コメント

日本経済新聞社 データビジュアルセンター写真映像グループ

日経電子版で公開した「さまようロシア人 ジョージアでみた侵攻の代償」は、通常スチールカメラを手にする記者が動画の撮影や原稿、構成などを考え制作しました。ウクライナ侵攻後、ロシアから隣国ジョージアへ流れた人とマネーの動きに焦点をあて、侵攻開始から1年のタイミングで公開した映像ルポです。
IT技術者などの高度人材がロシアから周辺諸国に脱出している実態をオープンソースの情報からつかみ、彼らの証言から「ロシアの頭脳」の流出を裏付けました。また、国外へ逃れた人の足取りを衛星画像などから分析し、2022年9月にジョージアとの国境付近で3000台もの車が渋滞していたことを突き止めました。この作品では映像とグラフィックスを効果的に使い、未来を描けずさまよう彼らの姿に迫りました。
今回はグランプリとして評価していただき、取材チームも大変うれしく思っています。今後もデジタルジャーナリズムの質を高め、信頼できる情報を発信していきたいと考えております。
(日本経済新聞社 データビジュアルセンター写真映像グループ)

選考委員より

ロシアからの高度人材の流出を、隣国ジョージアの視点から深く掘り下げたこのドキュメンタリーは、理解しやすく、洗練されたデザインで提示されています。個々の人物に寄り添ったインタビューを核とし、衛星データや統計データを駆使した幅広い視野で、各々の複雑な背景を巧みに編み上げました。新聞社が展開するこの映像作品は、その卓越した情報収集能力と編集技術を駆使して、一つのテーマを深堀りする際の新たな可能性を示しています。複雑な社会的問題を適切なバランスで単純化せずに多様な視点からの理解を促進する、優れたフォーマットであると評価します。このような取り組みを是非とも継続していただきたいと思います。
(関治之/一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事)