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Internet Media Awards 2025 : 水難事故マップ 1万件のデータから見えた事故集中エリア

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コンテンツ部門

真実をわかりやすく伝え、人々の心を動かし話題になった作品

水難事故マップ 1万件のデータから見えた事故集中エリア/朝日新聞社

起こってしまった事故を検証し、未来の事故を防ぐ。報道の本義に適った作品

Internet Media Awards 2025 コンテンツ部門 - 水難事故マップ 1万件のデータから見えた事故集中エリア

受賞コメント

朝日新聞社

毎年、夏が近づくとニュースになる水難事故。発生場所のデータから事故の多発地点を見つけられるのではないか、という同僚との雑談がきっかけで始まった企画です。

川や湖などの事故については、公益財団法人「河川財団」によるデジタルマップが知られていましたが、海の事故についてはまとまった全国のデータは公開されていませんでした。海上保安庁から事故データの提供を受けることができ、河川財団の協力も得て地図化し、さらにデータを分析して全国の事故多発地点を抽出しました。さらに多発地点を実際に訪れ、事故をどうすれば防げるかに焦点を当てながら取材しました。

受賞をきっかけこのマップを知っていただき、本来は楽しいはずの水のレジャーで悲しい思いをする人が少しでも減ってほしいと願っています。
(朝日新聞コンテンツ編成本部ディレクター・日高奈緒)

日高奈緒/朝日新聞コンテンツ編成本部ディレクター
2009年に朝日新聞に入社。高知、熊本、名古屋の各地で警察、司法、行政の取材を担当。デジタル編集部や国際報道部などを経て、現職。デジタル空間でのニュースの伝え方に関心を持ち、22年に米コロンビア大学ジャーナリズムスクールでデータジャーナリズム修士を取得した。最近手がけた特集コンテンツには「平行世界(パラレルワールド) ウクライナ侵攻3年」「無差別空襲」などがある。

選考委員より

コンテンツ部門は、デザインの斬新さ、革新性という意味では、候補作中に特に目を惹く作品がなかった。逆に言えば、一定以上の「ウェブならでは」は、かなり一般化されてきており、その技術がいかに効果的に、有益に活用されているか、という実地の観点からの選考となった。工夫が足りない作品がある一方で、色々と凝ってはいるものの、かえって見づらく、写真とテクストをもっとシンプルに並べただけの方が情報は伝わりやすかったのでは?と思わされる作品もあった。
部門賞に選ばれた作品は、その意味ではデザインと実用性のバランスが良かった。毎年夏になると報じられる水難事故のニュースは、非常に痛ましいものだが、どこか身近に感じにくいものである。本サイトではそれが極めて具体的で、私もよく知っている海を幾つか調べてみて、その事故内容にハッとさせられた。学校で、子供たちと一緒に活用すれば、不注意な事故で失われる命が救われるかもしれない。起こってしまった事故を検証し、未来の事故を防ぐ、という意味では、報道の本義に適った作品であると思う。 (平野啓一郎/小説家)