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Internet Media Awards 2026 : 3Dは語る 大分・佐賀関の大規模火災

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データインサイト部門

複雑な情報をわかりやすく提示し、議論や変化を促した作品

3Dは語る 大分・佐賀関の大規模火災

3DGSという技術が、報道の可能性を一変させた作品

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受賞コメント

共同通信社 写真部、データ調査報道部

大分市佐賀関の大規模火災を記録した3D報道は、昨年末から配信しているシリーズ「3Dは語る」の第1回目です。私たちは昨年春から、報道における3D活用の可能性について社内で議論を重ねてきました。一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科の谷田川達也准教授のご指導の下、最新のデジタル技術「3Dガウシアン・スプラッティング(3D Gaussian Splatting)」による作成手法を学びながら、「現場を3D化することで何を伝えられるか」を探ってきました。メディアが従来提供してきた2次元の写真や動画は、あくまで「限られた視点」に過ぎません。しかし、もし甚大な災害が発生した際、地域の関係者や救助・復旧にあたる機関、あるいは専門家や研究者であれば、「被災状況をより詳細に、多角的に把握したい」と思うはずです。3D報道はそのニーズに応える可能性を秘めています。誰もがそれぞれの立場で、自由自在に視点を動かし、必要とする情報に迫ることができるからです。今回の受賞は、こうした「3Dが持つ報道の新たな可能性」も評価していただいた結果だとうれしく思っております。最後に、3Dの作成にあたり多大なるご尽力を賜りました谷田川先生にこの場をお借りして深く感謝申し上げます。

共同通信社 写真部、データ調査報道部
八田尚彦、矢島崇貴、所澤新一郎、佐藤匠

共同通信社は国内、海外のニュースを取材、編集して全国の新聞社、NHK、民間放送局、海外メディアに配信しています。3D報道は写真部とデータ調査報道部が担当。シリーズ「3Dは語る」はこれまでに、佐賀関の大規模火災の他に2011年の東日本大震災で被災した岩手県山田町や宮城県石巻市の大川小学校を取り上げています。

選考委員より

3DGS(3D Gaussian Splatting)という技術が、報道の可能性を一変させた作品だ。ヘリコプターからの写真画像によって3Dモデルを生成し、被災地の三次元空間をかつてない臨場感で立ち上げている。立ち上る煙の挙動、3Dの詳細な質感。画面越しにもかかわらず、あの場所の上空にいるかのような感覚が迫ってくる。思わず、「これが能登にあったら」「東北にあったら」と願ってしまった。これからはヘリコプターで上空を数周すれば、被災の実態を、数字でもなく、写真でもなく、空間として伝えられる。それは復興の議論を根本から変えうる力ではないだろうか。被災地報道のスタンダードになってほしい。そう願わずにはいられない一作だ。 (太刀川 英輔/NOSIGNER(ノザイナー)代表/慶應義塾大学特任教授)