円滑なキャッチボールをめざして
メディアリテラシー担当
下村健一
「インターネットメディア協会(略称JIMA)」は、インターネットで情報発信をしているメディアが集まって結成されました。しかし、それだけの“業界団体”ではありません。もう一種類、不可欠な参加者がいます。
それは、記事を読んだり視聴したりする《ネットユーザー》です。その立場から、メディアリテラシー実践などに取り組む団体の主宰者として、理事の一角に私が加わらせていただくことになりました。
情報が四方八方から無数に飛び交う、ネット社会。そこに記事を出す各メディアには、「きちんと《発信する》技術や責任」が強く求められます。と同時に、私たちネットユーザー側にも、「きちんと《受信する》技術や責任」が生じます。情報をボールにたとえるならば、暴投やエラーのないキャッチボールは、投げる側と取る側、どちらか一方だけの努力では成立しませんから。
そこに思いを巡らせ、JIMAはこうしてメディアリテラシー担当理事という役割を発足時点から設置しました。これは、ネットメディア界の「創造性と信頼」を確かなものにしていくために、必要な判断であったと思います。
今後JIMAでは、広く全年代のネットユーザーの皆さんと一緒に、随時「メディアリテラシー講習会」等も開催して参ります。そこでは、「情報はしっかり見極めましょう」といった単なる抽象論ではなく、「情報に踊らされないための4つのポイント」といった具体的・実効的な方法論を共有します。
そしてもう一つ、とても大切なこと。
今さら言わずもがなですが、ネット時代は「全員発信者時代」です。好むと好まざるとに関わらず、すべての人が世界に向かって瞬時に情報発信が《できてしまう》時代です。先ほど私は敢えて「ユーザーの立場から」理事に加わったと申しましたが、実際には今や受信側オンリー/発信側オンリーでいられる人など、滅多にいません。
その観点から、前述の講習会等の取り組みは、私たちネットユーザーひとりひとりがSNSの《発信者》として誤報や虚報を悪意なくバラまいてしまうことの予防にも、役立つことをめざします。
JIMAは、「創造性と信頼をともに」と謳っています。そこには、「加盟メンバーが共に」という意味だけではなく、広く「発信者と受信者が共に」という重要な意味もこめられています。
あなたも是非、今後の各種企画にご参加ください。
インターネットメディアの「創造性と信頼をともに」高めていきましょう!
(令和メディア研究所 主宰 / 白鴎大学「情報キャッチボール技術」特任教授)
*所属・役職は当時