JIMAの活動 : ニュース

メディアの信頼性とは? 創造性や多様性を支えるには? ——JIMA設立記念シンポジウムが開催

投稿日:

インターネットメディア協会(JIMA)の設立を記念したシンポジウムが、2019年6月8日に開催されました。JIMAにとっては、初の公開イベントです。
会場には、メディア関係者を中心に300名を超える参加者が集まり、2時間超に及ぶイベントは、終始熱気に包まれたものとなりました。
シンポジウム開催に協力をいただいた政策分析ネットワークおよびヤフー株式会社に感謝いたします。

以下ご紹介するように、本シンポジウムについては、すでに複数のニュース報道で取り扱っていただいています。そこで、詳しい内容はそれら報道に譲り、本稿では、写真や別角度の話題などをご紹介していきます。

「信頼性のある情報を」「創造性と多様性をどう守るか」

冒頭、JIMA代表理事の瀬尾傑(スマートニュースメディア研究所 所長)が、JIMA設立の目的を、「信頼性のある情報をどう届けるかであり、同時に、インターネットの上に形成されてきた、インタラクティブな創造性と多様性をどう守っていけるか」とした上で、「平場で(立場の違いを越えて)さまざまな議論ができること」を特色としていきたいと述べて、シンポジウムはスタートしました。
TBSニュース「インターネットメディア協会が発足」、も併せて参照下さい。

多種多様なメディアのあり方を認め合う

シンポジウムの第1部は、東洋経済オンライン編集長の武政秀明氏の進行による、パネルディスカッション「メディアの創造性と信頼のために今なすべきこと」です。
パネリストには、ジェイ・キャスト執行役員の蜷川聡子氏、BuzzFeed Japanシニア・フェローの古田大輔氏、さらにMarkeZine(マーケジン)編集長の安成蓉子氏、NHK ネットワーク報道部専任部長の熊田安伸氏、そして、JX通信社代表取締役の米重克洋氏と、多様なインターネットメディアを象徴するかのような多彩なメンバーが登壇しました。Media Innovation「メディアの信頼性、表現の自由と規範、ビジネスと経営など5社が激論」が、ディスカッションの内容を詳しく報じています。

ディスカッションでは、信頼できる情報を届けるための要件や、取り組み事例が語られる一方、JIMAは「インターネットニュース協会」ではなく、「インターネットメディア協会」であり、多種多様なメディアのあり方を認め合っていくといった意見も交わされました。
また、信頼されるメディアを維持、存続させるためにも、ビジネスモデルの開発や経営マインドが重要であることが強調されました。メディア経営の重荷となるコスト軽減の観点からテクノロジーを活用すること、さらにはエンジニアリングを組織のDNAへと組み込むことや、メディア間での基盤の共通化を促す意見も提示されました。

メディアをめぐる「多様性」も議論

パネルディスカッションの最後では、メディアをめぐる「ダイバーシティ(多様性)」をめぐる課題が提起されました。多様性の欠如や男性中心的な弊害を強く感じてはいないとする意見がある一方、現在は、編集部やエンジニアリング組織が男性で占められているとの課題を指摘する声がありました。今後、JIMAのような多様なメディアが集う場が、プラットフォームとしての役割を果たすべきとの意見に登壇者が同意して、活気のあるディスカッションが終了しました。

情報の「受け手」「送り手」、さらには「支え手」に向けたリテラシーを

シンポジウムの第2部は、メディアリテラシー形成の重要性を論じる「情報に踊らされない為の4つの《ハテナ》」です。登壇者は、元TBS・報道番組キャスターの下村健一氏(令和メディア研究所 主宰)。内容については、J-CASTニュース「インターネットメディア協会、設立シンポジウム開催 『運営』『経営』などディスカッション」も併せて参照して下さい。

下村氏は、メディアは「情報のキャッチボール」であり、投げる人と受け取る人が存在すること、さらには、メディア活動を支える広告主のように、支え手も存在するとした上で、JIMAにおけるメディアリテラシー活動の今後について、

  • 受け手向け…3か月ごとの公開講座
  • 送り手向け…会員限定勉強会
  • 支え手向け…広告業界団体との連携

など、それぞれの分野ごとに取り組む方向性を示し、さらに海外の動向や学際的に取り組めることなどについての目標も提起しました。

演習も交えた「4つの《ハテナ》」

その上で、下村氏は、自身が取り組んできた中学生ら一般向けのメディアリテラシー講座「情報に踊らされない為の4つの《ハテナ》」のエッセンスを披露。多くの来場者を巻きこんだ演習形式で、来場者の共感と理解を得たところで、盛況のうちにシンポジウムを終了しました。

(文責:JIMA事務局/撮影:オオモトケンジ)