テキスト・コンテンツ部門
全財産を使って外車買ったら、えらいことになった
作者 岸田奈美
第1回インターネット・メディア・アワードInternet Media Awards
〜 グランプリは岸田奈美氏「全財産を使って外車買ったら、えらいことになった」に決定! 他に「ビジュアル・コンテンツ」「スポンサード・コンテンツ」「ソーシャル・インパクト」など7部門・7作品が受賞〜
インターネットメディア協会(JIMA、代表理事 瀬尾 傑)は、日本のインターネットメディアの質的向上、認知獲得、業界の更なる発展をめざす目的で、卓越した創造性、アイディア、イノベーションをもたらしているメディア、そのようなメディア運営に取り組まれている方々の活動を顕彰する、『第1回 Internet Media Awards(インターネット・メディア・アワード)』(実行委員長、林 亜季)を創設。2020年中(2020年1月1日〜2020年12月31日)に公開されたコンテンツ、または活動を対象とし、幅広く公募を実施しました。そして、すべての応募作から、JIMA会員の投票による第一次選考、専門家や識者からなる選考委員(文末資料参照)の討議による最終選考を経て、受賞作が決定いたしましたので、お知らせします。
本アワードは、「テキスト・コンテンツ」「ビジュアル・コンテンツ」「スポンサード・コンテンツ」「メディア・イノベーション」「メディア・ビジネス」「ソーシャル・インパクト」の各6部門からなり、加えて最終選考会における議論から「選考委員特別賞」が追加されたことにより、計7部門・7作品の受賞作(資料参照)が決定いたしました。(「メディア・ビジネス」部門は該当作がありませんでした)
上記7作品の中から、岸田奈美氏「全財産を使って外車買ったら、えらいことになった」が「Internet Media Awardsグランプリ」に選出されました。
今回の応募作品は234の多数にのぼり、また、知名度の高いメディアに止まらず、SNSなどへの投稿作品も多く含まれるなど、多様性に富んだものとなりました。「魅力的な候補作が多数集まり、インターネットメディアの多様性と可能性をあらためて感じました。アワードにふさわしい作品が多数寄せられ、最終選考会当日は白熱した議論となりました」と、選考委員を代表して瀬尾 傑は述べています(コメント全文は文末参照)。
作者 岸田奈美
選考委員より
題材としては暗い苦労話になっても不思議はないところ、ユーモアと感謝にあふれた明るい一人称のテキストが、人々の心をつかんだ。本記事は日本で話題になり(noteのハート数3万以上)、それがきっかけでボランティアによって10か国語に翻訳された。インターネットらしい広がりだ。ともするとインターネットメディアには「炎上」「分断」など怖く荒れたイメージが強く、敬遠しがちな人もいる。でも、インターネットには前向きな可能性もたくさんある。受賞作はそれを示す好例だ。(篠田真貴子)
作者 岸田奈美
作者 crystal-z
選考委員より差別が引き起こした問題を、当事者が音楽と映像で世の中に伝えることで、多くの人々の共感を呼び起こした。見ているうちに内容が分かってくる秀逸なプロットでエンターテインメントとしても上質であった。YouTubeで作品を見た後に、医学部入試不正と作者の関連を知った人も多いであろう。不正に対して告発をする強い姿勢と、飄々とした語りが強烈な印象を残した。(関 治之)
作者 井土亜梨沙・勢村大樹・久世和彦・山田剛司
選考委員よりこの動画では7社の企業のトップが出て、男性である自分が育児をできなかった後悔と当時の労働環境を語る。労働環境の変革はいまの社会課題だが、男性が育休を100%とる重要性を労働者ではなく、使用者が語る。しかも、自分自身の反省を踏まえて。語っているのは家庭を顧みなかった世代のトップだ。こうしたメッセージは「あの人も」「あの会社も」と周囲の経営層に届くことを予見させるし、静かに社会を動かすきっかけになる可能性がある。そんなメッセージを、経営層やそれに準ずる働き手が意識する媒体であるForbes JAPANが手掛けたところにこのコンテンツの複層的な意義を感じる。(森 健)
作者 国立科学博物館
選考委員よりVRは技術的に新しいというわけではないが、館内「ほぼすべて」を撮影したという「やりきった感」が評価された。また、緊急事態宣言発令後1ヶ月以内、GW前の開始など、「スピード感」と「タイミングの適切さ」も素晴らしい。小学生の頃、夏休みに上京した折、同館で初めて「マイコン(PC-8001)」を見た。子供ながらに「これが世界を変える!」と直感し、プログラミングの勉強を始めた。そのことが人生を大きく変えた。子供たちにとって博物館の役割は極めて大きく、不要不急なものなどでは決してない。その使命を「絶やす間なく」果たそうとした同館の決意と、それを技術的に支えた団体の熱意には、惜しみない拍手を送りたいと考える。(原野守弘)
該当作品はありませんでした。
作者 岩永直子(BuzzFeed Japan Newsエディター)と取材班
選考委員よりBuzzFeed Japan Newsの医療専門記者や専門家が、HPVワクチンについて正確かつ、様々な立場のひとたちに寄り添った情報発信をされていると思います。昨今の新型コロナにおいても、ワクチン接種に関する正しい情報の重要性が問われていますが、このHPVワクチンへの空気の変化が影響しているのではないかと思い、重要な作品だと考えました。(米良はるか)
選考委員よりデータを誠実かつ継続的に伝えようという強い意志を感じました。有事における「みんなのダッシュボード」のあり方として、一つの方向性を示した取り組みだと思います。(櫻田 潤)
第1回目となるInternet Media Awards、まさにインターネットメディアの革新性や民主性を物語る結果となりました。受賞作品の数々や選考過程の議論を踏まえると、インターネットにおいてはメディアの意欲的な取り組み同様に、個人の生の発信、ナラティブな表現が訴える力も大きいと感じました。残念ながら受賞なしとなったビジネス部門は、インターネットメディアのビジネス自体がまだまだ解がなく、未来を模索中であるという選考結果を示すものとなりました。改めまして、ご応募いただきました皆様、選考委員の皆様、運営に携わってくださった皆様に深くお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
NewsPicks for Business 編集長 / AlphaDrive統括編集長東京大学法学部卒業。2009年、記者として朝日新聞社に入社。地方での記者経験後、新ビジネスの開発や投資などを行う「メディアラボ」で複数の新規事業立ち上げに携わった。経済部記者を経て同社を退社。2017年、ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンに入社。ハフポスト日本版の広告事業を統括するPartner Studio チーフ・クリエイティブ・ディレクターとして初の黒字化に貢献。2018年7月、アトミックスメディア(現リンクタイズ)に入社し、Forbes JAPAN Web編集部副編集長 兼 ブランドボイススタジオ室長に就任。同年12月から2020年6月までForbes JAPAN Web編集長を務め、サイトパワー増に尽力した。2020年7月から現職。NewsPicks for BusinessとAlphaDriveのコンテンツプロデュースを統括する。
櫻田 潤
株式会社ニューズピックス インフォグラフィック・エディター
篠田真貴子
エール株式会社 取締役
治部 れんげ
東京大学大学院情報学環客員研究員 / フリージャーナリスト
瀬尾 傑
インターネットメディア協会代表理事/スローニュース株式会社 代表取締役
関 治之
一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事
原野 守弘
株式会社 もり 代表 / クリエイティブディレクター
米良はるか
READYFOR株式会社代表取締役CEO
森 健
ジャーナリスト/専修大学文学部非常勤講師
インターネットメディア協会 代表理事 瀬尾 傑
今回、公募で集まった234件の作品の中から、このような素晴らしい受賞作を選ぶことができました。インターネットメディアが信頼と創造によってさらに社会に貢献するための指針となる作品が揃いました。今回、受賞にはいたりませんでしたが魅力的な候補作が多数集まり、インターネットメディアの多様性と可能性をあらためて感じました。アワードにふさわしい作品が多数寄せられ、最終選考会当日は白熱した議論となりました。お忙しい中、ご協力をいただいた選考委員をはじめ投票、推薦をしていただいた皆様にあらためて感謝を申し上げます。これからもInternet Media Awardsを盛り上げていけるよう、ひきつづきよろしくお願い申し上げます。
インターネットメディア協会代表理事 1965年兵庫県生まれ。同志社大学卒業。88年 日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。 経営企画室、『日経ビジネス』編集部など を経て退職。 93年 講談社入社。
『月刊現代』、『FRIDAY』、『週刊現代』各編集部などを経て、『現代ビジネス』創刊編集長、第一事業戦略部部長などを歴任。2018年8月にスマートニュースに入社、同年8月に設立した『スマートニュース メディア研究所』の 所長に就任。19年2月に調査報道の支援を目指す子会社、スローニュースを設立、代表取締役に就任。19年4月より、新しく設立したインターネットメディア協会の初代代表理事を務める。