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Internet Media Awards 2023 : 教師から性暴力、34年後の勝訴 「重い扉」開けた男性の願い

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選考委員特別賞

選考委員が特筆すべきとした作品

教師から性暴力、34年後の勝訴 「重い扉」開けた男性の願い(Yahoo!ニュースオリジナル特集)

社会における「重い扉」をひとつ開くきっかけを与えた

Internet Media Awards 2023 選考委員特別賞 - 教師から性暴力、34年後の勝訴 「重い扉」開けた男性の願い

受賞コメント

秋山千佳(あきやま・ちか)

秋山千佳

インターネットメディアのありがたさを実感してきた。
栗栖英俊さんとの出会いからしてそうだ。5年前、Yahoo!ニュース特集のスクールセクハラの記事を目にした栗栖さんは、文末にあった筆者の連絡先に直接メールをくれた。
以来、彼の性被害を匿名で記事にしてきたが、今回初めて実名顔出しとなった。記事はSNSで拡散され、ネット上には彼の勇気を称えるコメントが溢れた。栗栖さんはそれを見て力を得たそうだ。その後自身のサイトを立ち上げた。
栗栖さんはもちろん、「男性の性被害」という日本ではマイナーだったテーマを掲載してくれたYahoo!ニュース特集、その記事に目を留めてくれたインターネットメディア協会の皆様に心より感謝したい。

秋山千佳(あきやま・ちか)
ジャーナリスト、九州女子短期大学特別客員教授。1980年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。記者として大津、広島の両総局を経て、大阪社会部、東京社会部で事件や教育などを担当。2013年に退社しフリーに。著書に『東大女子という生き方』(文春新書)、『実像 広島の「ばっちゃん」中本忠子の真実』(KADOKAWA)、『ルポ保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル』(朝日新書)など。

選考委員より

認知されにくい男性の性被害に迫った当記事は、これまで目が向けられづらかった「男性への性暴力」、また、「スクールセクハラ」という問題に切り込むことで、タイトルの通り、社会における「重い扉」をひとつ開くきっかけになった作品である。
男性が実名で中学生時代に教師から受けていた性暴力を告白、34年後に加害教師を訴え、勝訴を勝ち取った。このコンテンツによって、改めて性被害は女性だけだという偏見を壊し、また、守られていると思われていた学校という閉ざされた空間でも被害は起こりうるという認知を広げたことの意義は大きい。また、筆者である秋山氏の長きに渡り、同問題を取材してきているバックグラウンドも当コンテンツの信頼性に寄与している。(谷本有香)